フィリップ・ランバン(Philip Lumbang)は、ロサンゼルスを拠点とするストリート系グラフィックアーティストで、イラストレーション、デザイン、壁画、ファインアートなど多岐にわたる作品を手掛けています。彼の作品は、ユーモアと社会的メッセージを融合させたスタイルで知られています。
自身の名を冠したブランド『Philip Lumbang®』は、彼のアートスタイルを軸に、スケート、音楽、グラフィティアート、ダンスといったストリートカルチャーのエネルギーを具現化し、それぞれの要素を大胆に融合させたストリートブランドです。
ウェアからアクセサリー、ライフスタイルアイテムまで幅広く展開し、都市の多様なカルチャーを愛する人々に向けたコレクションを展開します。
※Philip Lumbang®ブランドのアパレル・バッグのコレクションは2025年8月から発売開始の予定です。
1.経歴とスタイル
Philipはカリフォルニア州エルクグローブで育ち、幼少期から絵を描くことに情熱を注いできました。彼の作品は、ポップカルチャーや社会的テーマを取り入れたものが多く、特にクマのキャラクター「Awesome Bear®」とランチバッグのキャラクター「Philish Lunchbag®」をマスコットとして用いた作品が特徴的です。
2.ストリートウェアブランドOBEYやTHE HUNDREDSでのグラフィックス制作
Philipは、著名なストリートウェアブランドOBEYやTHE HUNDREDSでグラフィックアーティストとして経験を積み、そのデザインを手掛けました。彼のデザインは、ブランドのアイコニックなスタイルと彼自身のユニークなアートスタイルを融合させたものです。
3.著名なラッパーVince Staplesのアルバムデザイン
PhilipはVince Staplesのアルバム「Stolen Youth」のグラフィック制作を手掛けました。Vince StaplesとAwesome Bear®のコラボレーションが実現しました。
4.ロサンゼルス自然史博物館での展示
ロサンゼルス自然史博物館(Los Angeles Natural History Museum)では、「Becoming Los Angeles(ロサンゼルスの変貌)」という展示テーマのコーナーでPhilipの壁画作品が永久展示されています。
ロサンゼルス郡立自然史博物館の「ロサンゼルスの変貌」では、500 年かけてこの都市が小さなプエブロ(集落)から巨大な大都市へと変貌した過程が展示されています。この展示の一環として、アーティストのPhilip LumbangとErnesto Yerena Montejanoとが「死んだ親戚」と題した一連の壁画を制作しました。
これらの作品には、野生の羊や熊などの動物の頭蓋骨が描かれており、牧場や農地の拡大によって個体数が減少した野生動たちが表現されています。 これらの壁画の展示により、ロサンゼルスに居住する人々と環境のダイナミックな関係が表現され、人間の活動が地元の野生生物や生態系にどのような影響を与えてきたかがわかりやすく展示されています。独特のアートスタイルで知られるPhilipは、この共同作品に独自の視点で取り組み、この都市の歴史と環境との関わりに関する壁画作品を制作しました。
実際に展示されている作品が下記です。LAの500年の歴史の中で都市化によって絶滅した動物たちに対するレクイエム(追悼)を意味しています。
5.ストリートアートプロジェクトに参画
Philipは、カリフォルニア州パームスプリングスの公共アートプロジェクトに参加し、市内のゴミ箱に可愛らしいキャラクターを描いた作品を制作しています。この取り組みは、市が運営する「Art in Public Places(公共の場におけるアート)」プログラムの一環であり、公共空間を活性化し、地域住民とのつながりを深めることを目的としています。
Philipの作品は、パームスプリングス市のJames O.Jessie Desert Highland Unity Center周辺のゴミ箱に描かれており、「Awesome Bear®」や「Philish Lunch Bag®」などの愛らしいキャラクターが市民や訪問者の目を楽しませています。
このプロジェクトは、市のPublic Arts Commission(公共芸術委員会)によって企画・監督されており、公共空間を活用したアートの導入を通じて、地域の美化や文化的な豊かさの向上を図っています。
Philipの作品は、パームスプリングス市の公式ウェブサイトや公共アートのディレクトリにも掲載されており、彼のプロフィールや他の作品についても知ることができます。
このような取り組みは、アートを通じて地域社会とのつながりを深め、公共空間の魅力を高める素晴らしい例と言えるでしょう。
6.その他の活動と展示
Philipは、個展やグループ展など、さまざまなアートイベントにも参加しています。
日本では2025年10月31日~11月9日の期間に開催される大規模なアート展「DesignArt Tokyo」でも取り上げられ、渋谷Slothのギャラリーで作品の展示・販売が行われる予定です。
彼の作品は、ストリートアートの枠を超えて、現代アートシーンでも高く評価されています。彼のユニークな視点と技術は、多くのアート愛好家やコレクターから注目を集めています。
彼の最新の活動や作品については、Instagram(@philish_lunchbag)やBehanceのプロフィールで確認できます。
またYouTubeでは、Philip Lumbangのアートスタイルや制作過程について紹介されています。
『Interculture Street Brand』-インターカルチャーストリートブランド-
「カルチャーが交差する場所、それがPhilip Lumbang®」
Philip Lumbang®は、ストリートカルチャーを形作る多様な要素を取り込み、それをファッションとアートを通じて世界に発信します。
「ただの服」ではなく、「カルチャーの交差点」で生まれるエネルギーを感じられるコレクションを届けます。
※インターカルチャー:異なる文化が交差し融合するという意味合いを持つ。
Philip Lumbangの作品にはふたつのキャラクターが登場します。
「Awesome Bear®」というクマのキャラクターと「Philish Lunch Bag®」というブラウン色の紙バッグです。
・Awesome Bear®
ロサンゼルスのダウンタウンにある多くの古い廃墟の建物は、落書きで覆われていることが多く、それは見る人に殺伐として退屈な印象を与えています。
Philipはそのようなグラフィティーで覆われた壁に満足しませんでした。そこで彼は愛らしいクマのキャラクター「Awesome Bear®」を描くことで、温かく人間味あふれる世界観を創り出しました。
このキャラクターは人々の心を掴み、ロサンゼルスのストリートアート界に新風を吹き込みました。
・Philish Lunch Bag®
Philipが描く「Philish Lunch Bag®」は、ブラウンの紙袋に温かな意味を込めたキャラクターです。
アメリカではこのランチバッグが、子供時代の思い出や家族の愛情、家庭的な温もりの象徴として親しまれています。
母親が用意してくれた手作りランチや励ましのメモとともに、学校へ持っていった記憶を呼び起こす存在です。
また、エコでシンプルなアイテムとして、大人になっても健康や節約を意識するライフスタイルの中で愛されています。
映画やドラマでも登場しアメリカ文化に深く根付くこのアイコンを、Philipは作品に取り入れることで、誰もが共感できる温かさと人間愛を表現しています。